クリーンルーム導入の際の注意点
クリーンルーム虎の巻、第1回ではクリーンルームの定義と、その基本的な構造についてお話ししました。第2回では、クリーンルーム内に入る作業者や、クリーンルームを稼働させるにあたっての環境負荷、コストについてご説明いたします。
クリーンルーム内で作業者が気を付けるべき点
クリーンルームを設置しただけで、空間内のクリーン度を常に保つことは簡単ではありません。クリーンルーム内に入る作業者が様々なことに気をつける事で、初めてクリーンな環境が保たれます。その作業者が気を付けるべきことは、主に外からホコリなどを持ち込ませない・うちでコンタミを発生させない・うちで発生してしまったホコリなどを上手に排除するという点が挙げられます。
その為、クリーンルーム内に入る場合は、専用のクリーンウェアを身に着ける、部屋の出入り口はエアーシャワーから行うことなどが必要です。人からはほこりや髪の毛などのごみが多く出るため、これから新たにクリーンルームの導入を検討する際はこの点にも留意しておかなければいけません。
環境負荷・コストパフォーマンス
クリーンルームを新たに導入される際に足かせとなるのが、電力などの環境負荷、また金額面やその費用対効果を発揮するのかという点だと思います。
環境負荷に関しては、ルーム内を常にクリーンに保つため、FFU(ファンフィルターユニット)などの機械は常に稼働させ続けている状態です。その為電気を相当量使用することによる負荷は否めません。しかし、これは現場の一工程のみを比較してのもので、クリーンルームを設置していなかった時にコンタミによる製品の作り直し、不良品の廃棄による負荷がなくなることを考えれば、トータルで見ると環境負荷自体は低くなることが予想されます。
さらに、これはコストにも関わってきます。ルームを導入することによる初期費用・稼働時の電力などの費用と、製品の作り直し・廃棄により発生する費用。この二つを長い目で見たときに釣り合っているのかどうかを見ることも大切です。
また、クリーンルームを設置・活用することで、企業のブランド力向上、また、製品の高付加価値化など、見えない価値が生まれる可能性もあります。例えば、クリーンルームの使用がまだ浸透していない分野のメーカーが「この製品は異物などが混入しないクリーンルーム内で製造を行っています」という情報を発信すれば顧客は、これは他社より安全な製品だと認識して、その製品への信頼や満足度が上がることが期待されます。さらには、こうした点を企業として意識することで、社員の意識向上、組織力の向上も期待できます。
この記事を読まれている方の中には、これからクリーンルームの導入を新たに考えておられるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。どのような目的でこれから設置を行うのか、金額や費用対価値は今考えている設備で見合っているのか、様々な観点から自社に適したクリーンルームをお選びください。