クリーンルームの「クラス」とは?
クリーンルームについて調べていると、よく「クラス10,000」「クラス1,000」のような表記を目にするかと思います。「クラス」が分かることでどれくらいの規模のクリーンルームを導入するかという目安になるのですが、この「クラス」とは一体どういったものなのでしょうか?
「クラス」とは清浄度の規格
クリーンルームのクラスとは空気中の微粒子がどの程度少ないか、すなわちどれくらい清浄度の高い環境かを表す規格です。クラスの後ろにつく数が少ないほど、空間内の微粒子が少ないことを表します。
この「クラス」の分け方にはいくつかの規格がありますが、主に使われているのは二種類。
米国連邦規格とISO規格です。
米国連邦規格
クリーン度はアメリカで米国連邦規格として制定されたのが始まりです。この規格では0.5μmの粒子を基準とした1立方フィート(約33㎝角)中の0.5μm以上の粒子の数によって、クラス1、10、100~…100,000まで分類されています。
例えば1立方フィート中に0.5μm以上の粒子が1000個以下であればクラス1000、100個以下であればクラス100というように分類されています。
ISO規格
次にISO規格です。先程の米国連邦規格とは基準が異なり、1㎥中の0.1μm以上の粒子の数によってクラス1、2、3~…9まで分類されています。例えば1㎥中の0.1μm以上の粒子の数が10,000個以下の場合はクラス4とあらわされます。(粒子の数を累乗で表したときの指数がクラスの数字になります。)
現在米国連邦規格は廃止されクリーンルームのクラスは国際統一のISO規格に移行していますが、以前から広く使用されていたこともあり、現在も米国連邦規格で表記されている記事は多くあります。
米国連邦規格とISO規格の違いは以下の通りです↓
- 米国連邦規格→1フィート(約33cm角)中の0.5μm以上の粒子の数によって分類
- ISO規格→1㎥中の0.1μm以上の粒子の数によって分類
ISO規格に、米国連邦規格を当てはめると以下のように対応します。測定基準が異なるため大まかな対応としてご覧ください。
クリーン度(クラス) | 上限濃度(個/㎥) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ISO規格 | 米国連邦規格 | 測定粒径 | |||||
0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1.0μm | 5.0μm | ||
クラス1 | 10 | 2 | |||||
クラス2 | 100 | 24 | 10 | 4 | |||
クラス3 | クラス1 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | 8 | |
クラス4 | クラス10 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | |
クラス5 | クラス100 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | 29 |
クラス6 | クラス1,000 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
クラス7 | クラス10,000 | 352,000 | 83,200 | 2,930 | |||
クラス8 | クラス100,000 | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 | |||
クラス9 | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
(スマートフォン等は、表を横にスワイプすることで全体をご覧いただけます。)
業種によって求められるクラスは?
どのような業種がどれくらいのクラスのクリーンルームを導入しているのか?の一例がこちらです。
- クラス1-3:半導体工場
- クラス4-5:食品、薬品、精密機器、電子部品、光学機械などの工場
- クラス6-9:印刷、自動車の部品製造、病院の治療室・手術室等
ですが、こちらはあくまで一般例です。工程や環境によっては必ずしも上記のレベルのクリーンルームを用意すればよい、というわけではありません。
クリーンルームを導入するにあたりクラスの高いものを求めるほうが、もちろんより清浄な空間になります。しかし設備費やランニングコストはその分高価となります。
業種や作業内容によっても必要な清浄度は変わるため、必要な工程に必要なクラスの空間を用意することで総コストを抑えることができます。
E-Room+は「不良を出さない空間にする」という本来のクリーンルームを設置する目的を重視して、クラス100,000~1000までの簡易的なクリーンルームを得意としています。
お客様の目的をヒアリングして、必要なスペックをご提案いたします。