クリーンルームでは、ルーム内で作る製品に応じて静電気対策が必要になる場合があります。今回は、なぜ静電気の対策を行う必要があるのか、どのような対策方法があるのかについてご紹介します。

クリーンルーム内で静電気対策が必要な理由

普段の生活ではたまにバチッと来る程度でそこまで気にしない静電気ですが、クリーンルーム内で品質の高い製品を製造する際にはちょっとした静電気が製品の不良を引き起こしてしまいます。生産過程での良品率を上げるためにも静電気対策を行うことは重要です。

静電気による製品不良、トラブルは大きく分けて二種類。

一つ目は静電気によっておこる放電が引き起こす不良。

二つ目は静電気によって製品にゴミが付着したり、製品同士がくっつくことによって発生する不良です。

静電気の放電が引き起こす不良は電気・電子機器を製造する現場で問題になります。人体が帯電している状態で手などが製品に触れた時に急に放電することで引き起こされる場合や、帯電している導電体が製品に触れた時に急に放電することで引き起こされる場合があります。

どちらも急激に電流が流れることにより、回路の損傷・デバイスが破壊される等の製品不良が発生します。人間が痛みを感じないレベルの静電気でも、製品はダメージを受けている場合もあるのですぐに不良に気づけない場合もあります。

静電気によるごみの付着についてはフィルムの製造環境や、塗装を行うクリーンルームでしばしば問題になります。例えば製品にゴミが付着する場合は、塗装面にゴミが付着することによって塗装ムラができる・フィルムの製造でフィルムにゴミが入ってしまう、といった不良が発生する可能性があります。

製品同士がくっついてしまうと、パーツフィーダーの部品詰まりが起きるなどの問題が発生して、生産工程が滞ってしまいます。

これらのトラブルを防ぐため静電気対策を行う際は、静電気の帯電量を小さくすることが重要です。具体的には静電気を逃がす静電気の発生量自体を減らすといった対策がとられます。

クリーンルームで静電気対策を行うには

クリーンルームで静電気対策を行うには上記でお伝えしたように静電気を逃がす、静電気の発生量自体を減らすといった対策が有効です。

静電気を逃がす

静電気対策に対応した服装やアイテムを使用する

人体から発生する静電気を防止するため、発生した静電気を体に溜めないよう靴底から地面へ流す帯電防止機能のついた静電靴や、帯電防止性に優れた素材を使用したクリーンウェアなどを着用します。また、電子機器などの製品を扱う際は、常に電荷を逃がし続ける仕組みが備わっているリストストラップを活用することもできます。

機器や設備を接地して作業する

機器や設備を正しく接地(電気設備機器等を大地を電気的に接続することで、大地に電荷を逃がすようにして静電気や漏電を防ぐ)することで、静電気の発生を防止します。

クリーンルーム内の床材、壁材を工夫する

導電性の床材や壁材をクリーンルーム内に使用することで、電荷の蓄積を防ぐことができます。

静電気の発生量自体を減らす

イオナイザーをエアシャワー内や作業エリアに使用する

静電気を帯電させずに、除去して発生量自体を減らす方法もあります。イオナイザー(静電気除去装置)は静電気をイオンで中和し、除電や除塵を行なう装置です。

エアシャワー内に設置することで人体に静電気によって付着している塵埃を落として異物の持ち込みを防止したり、製造物の近くに設置することで作業場所周りを局所的に除電することもできます。

広範囲を除電できるものや、製品の周りだけを小範囲除電できるものなど製品によって様々な特長がありかかるコストも変わる為、適切な場所・範囲に設置して対策を行うことが大切です。

湿度を管理する

湿度を高くすることで静電気の発生を防ぐこともできます。空気中に水分が多い状態を作る事で、製品の表面に水の分子がより多く付きます。そこから徐々に放電されるため製品が帯電しにくくなります。

E-Room+はクリーンルームの構造だけではなく、このような製造環境、周辺設備についてもトータルでご相談いただけます。

E-Room+ではお客様それぞれの内容や状況を専門のスタッフがヒアリングした後、お見積もりのご提示を致します。お困り事や条件に合わせたフルオーダーメイドの簡易クリーンルームをご提案することができますので、お気軽にご相談ください。

TOP