クリーンルームでよく聞く陽圧とは?

クリーンルームは、清浄度を保つための重要な仕組みとしてFFU(高性能なフィルターがついた空調機の事)などを使って部屋を陽圧の状態にすることがあげられます。しかし、この「陽圧」とはどのような状態の事を指すのでしょうか。また部屋を陽圧にすることでなぜクリーンルーム内が清浄度を保つことができるのでしょうか。

陽圧とは

陽圧とは 「ある空間内の気圧が外よりも高い状態」 の事を言います。

空気は気圧の高い場所から低い場所へと流れる性質があるため、空間内の気圧を外より高くして陽圧にすることで、
部屋内→外への空気の流れを作り、外気が入り込まない環境を作ります。

クリーンルームをこの陽圧状態にすることで塵埃を含んだ外気がルーム内に入ることがなくなり、クリーンルームの清浄度を保つことができるのです。この仕組みはクリーンルームだけではなく、例えばウイルスを含む空気が病室に入りにくいように病院等でも使用されています。

ちなみに、陽圧の逆で陰圧も存在します。こちらは「ある空間内の気圧が外よりも低い状態」の事を言います。
部屋外→内への空気の流れができるため、部屋外に内部の空気が漏れ出ない状態になります。この特徴を生かし、伝染病の治療を行う部屋などで使用されています。

部屋を陽圧に保つためのクリーンルームの仕組み

室内を陽圧状態に保つためにクリーンルームは

  • 清浄な空気を供給している
  • 排気が適切に行われている
  • 気密性が高い

といった特徴があります。

まず、クリーンルームではFFU(ファンフィルターユニット)を使用することで、微粒子がほとんど存在しない清浄な空気を部屋内に供給します。その後空気をただ送り続けるだけで排気が行われないと部屋内の圧力がどんどん高くなってしまうので、室外へ空気を排気します。

この排気を行う量が重要で、陽圧の状態を作るためには室外への排気量よりも室内への空気供給量を多くする必要があります(部屋内に存在する空気の量が多い状態を作るため)。

部屋の気密性が高くなければ隙間から室内の空気が常に漏れ出てしまい、陽圧に保つことができません。定められた場所からのみ適切な空気量が排出されるようにするためには高い気密性が必要です。

換気方式の詳しい方法等については過去記事もぜひご覧ください。

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