製品の不良を防ぐために導入するクリーンルームですが、維持管理無しでは高いクリーン度を保ち続けることはできません。クリーンルームが持つ性能を最大限発揮するには
- クリーンルームを構成する機器類
- クリーンルーム内で働く人や持ち込む物
これら二つの視点から維持管理を行うことが重要です。
今回はそれぞれどのようなことに注意すべきかご紹介します。
1.クリーンルームを構成する機器類の管理
まずはクリーンルームを構成する機器類の管理です。FFUやHEPAフィルター、エアーシャワーなどの機器類が正常に動作しているか定期的に点検を行ったり、モニタリングを行う必要があります。
クリーンルームは様々な機器類を使用することで空間内をクリーンに保っています。それらが正常に動いていない場合、微粒子の残った外気を部屋内に取り込んでしまったり微粒子が残ったまま部屋に入ってしまう恐れもあります。そのため定期的にフィルターを交換したり、メンテナンスを行うようにします。
また、機器類が期待する性能で稼働しているかどうかルーム内をモニタリングすることも大切です。空気中の微粒子の数を測定できるパーティクルカウンターや、壁や床に付着した目に見えない微粒子を可視化することができるクリーンルームライトなどが活用できます。
2.人や物の管理
機器類の点検・管理だけではクリーン度を高い状態に維持することは困難です。作業員が正しくクリーンルームを使用することで初めて高いクリーン度を維持することができます。
クリーンルームで作業員が気を付けるべきルールや作業手順は、
- 微粒子を発生させない
- 微粒子を室内に持ち込まない
- 微粒子を堆積させない
- 微粒子を排除する
というクリーンルームの4原則を元に考えると対策がとりやすくなります。
例えば以下のようなものです。
微粒子を発生させない
- 髪の毛や皮膚片を落とさないようにクリーン服を正しく着用する
- 発塵性の少ない道具を使用する
微粒子を室内に持ち込まない
- エアーシャワーや粘着クリーナーで付着しているゴミを取り除いてからクリーンルームに入室する
- 不用品を持ち込まない
微粒子を堆積させない
- ホコリが溜まらないように部屋のレイアウトを工夫する
- 床に物を置かない
- 清掃の基準を決めておく
微粒子を排除する
- 定期的な清掃を行う
- 微粒子の発生源を排除する
こういったルールや注意点を社内で共有・実行して、ルーム内に微粒子やゴミをなるべく出さないように作業を行うことが重要です。
機器類のメンテナンスが行き届き、クリーンルームの4原則を理解した上で作業を行うことでクリーンルームは本来の性能を維持することができ、一番の目的である不良品の少ない製品の製造につながります。